先日の日本経済新聞(2021年12月16日、日経ビジネス)の記事からの引用です。
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いじめ批判払しょくに腐心 トヨタ、調達先負担軽減に本腰詳細はリンク先の本文をご一読頂きたいのですが、何が起こっているかというと、大手メーカー(この場合トヨタ)の品質要求に対し、対面での接触が多い1次、2次サプライヤはまだしも、末端の高次サプライヤに行くほど要求を超える『過剰品質』が発生して、労働者に過度な負担を強いている実態が見受けられる、ということです。
私自身、自動車メーカー出身で、かつトヨタにも出向して働いた経験があります。確かにトヨタの品質管理は厳しいですし、実際に生産されている製品の品質も他銘と比較して高いのは事実です。
しかし、トヨタを擁護するわけではありませんが、トヨタの品質要求は明文化されており、必要以上の過剰要求を行っていないのが、私が経験した実態です。
では、何が『過剰要求』を生んでいるのでしょうか?
『トヨタの製品は高品質』だから『品質基準が他銘より厳しい』、だから『トヨタ向けに特別な対応をしないといけない』、こんなことを考えられておりませんか?
この発想こそ危険な発想なのです。単なる『思い込み』なのですが、サプライヤが特別な対応をしたところで
『品質』が上がることは決してありませんし、特別な対応により『過度な負担』を強いるだけなのです。
『品質』とは
「(お客様の)要求通りにモノを作れること、システムが動作すること」であり、「要求が
数値、論理によって明確であり、かつ
提示された要求通りに実現できていること」であります。それ以外の事象は過剰、無駄でしかありません。
本事例は、メーカーであるトヨタと下請けである高次サプライヤとの
品質管理に対する考え方について、
相互理解できておらず、野放しされていたのが問題で、トヨタ、サプライヤ双方に責任があります。モノそのものだけでなく、モノを作っている現場を見る必要がありました。
大手企業の開発および品質管理の皆さま、サプライヤに提示している品質要求は適切ですか? 抽象的でサプライヤが理解しにくい要求を出していませんか?
サプライヤの皆さま、メーカーからの品質要求を過度に受け止めていませんか? 品質要求の内容が理解できないとき、メーカーに確認を取っていますか?
効率化できる項目は身近なところにあります。ただ気づいていないだけです。
弊社は本件のような問題に対して、毅然とした態度で向き合います。